偽の仮想通貨ウォレット:最新の詐欺を見抜いて回避する方法
仮想通貨ウォレットは、デジタル資産を保管・管理するうえで欠かせない存在です。しかし、仮想通貨の利用が広がるにつれて、それを狙う攻撃者も増えています。その代表的な手口が、偽の仮想通貨ウォレットを作り出すことです。
本記事では、偽の仮想通貨ウォレットの仕組みや仮想通貨詐欺の見分け方、そして万が一被害に遭ってしまった場合の対処法を解説し、安全に利用するための知識を提供します。
偽の仮想通貨ウォレットはどのように機能するのでしょうか?
偽の仮想通貨ウォレットは、正規のデジタルウォレットを装いながら、裏であなたのデジタル資産を危険にさらします。こうした手口は、主に次の2つに分けられます。
1つ目は、利用者をだまして認証情報を自ら入力させるフィッシング型の詐欺です。一見安全そうで、最低限の機能も備えている偽のウォレットアプリを使い、安心感を与えます。しかしその裏では、秘密鍵やシードフレーズを含む入力データが、すべて詐欺師のもとに送られています。
2つ目は、マルウェアを使った詐欺です。このタイプでは、偽の仮想通貨ウォレットに悪意のあるコードが仕込まれており、キーボード入力を記録したり、デバイスを監視したりすることで、個人情報や認証情報を盗み取ります。
仮想通貨ウォレットが正規かどうかを確認する方法
アプリをダウンロードしてインストールし、資金を送金する前に、その仮想通貨ウォレットが本物かどうかを必ず確認しましょう。以下のポイントをチェックしてください。
- 公式ソースからダウンロードする:ウォレットアプリは必ず公式ウェブサイトから入手するか、公式サイトに掲載されている確認済みリンク経由でアプリストアにアクセスしてください。Google PlayやApple App Storeでも審査は行われていますが、完全に安全とは言い切れません。過去には、両プラットフォームで悪意のあるアプリが公開された例もあります。
- アプリと開発者を調べる:ダウンロード数、開発者の評判、オンライン上のユーザーの声を確認しましょう。正規の仮想通貨ウォレットは、一般的にダウンロード数が多く、コミュニティが活発で、信頼できるチームによって運営されています。
- ウェブサイトのURLを確認する:ウェブ型ウォレットの場合は、URLを確認するように、一文字ずつ慎重にチェックしてください。タイプミスや余分な文字、「.com」の代わりに「.net」を使うなどの不自然な点がないかに注意しましょう。詐欺師は、見た目がほぼ同じドメイン名の偽サイトを作ることがあります。
- ダウンロード前にアプリ情報を確認する:アプリストアでウォレットアプリを入手する前に、アプリ名、アイコン、開発者名、説明文が公式サイトの情報と一致しているかを確認してください。これにより、偽アプリを見分けることができ、悪質な類似アプリを避けられます。
- 透明性を確認する:信頼できるウォレットの多くはオープンソースで、コードが公開されています。また、第三者による独立したセキュリティ監査を受け、信頼性が検証されている場合もあります。
- 重要なセキュリティ機能を確認する:正規の仮想通貨ウォレットは、二要素認証(2FA)、生体認証ログイン、復元オプションなどの重要なセキュリティ機能に対応しています。
- まずは少額でテストする:上記の確認をすべて行ったうえで、多額の資金を移す前に、少額の仮想通貨で送金・受取・復元が問題なく行えるかを試してください。

注意すべき代表的な偽の仮想通貨ウォレット詐欺
資金を安全に守るために、特に注意したい代表的な偽の仮想通貨ウォレット詐欺を紹介します。
アプリストアに出回る偽ウォレットアプリ
一般的な詐欺手口の一つが、Google Play や Apple App Store などの公式アプリストアに、偽の仮想通貨ウォレットアプリを公開する方法です。こうしたアプリは、信頼されている仮想通貨ウォレットのブランドを巧妙に真似ており、本物のように見せかけて誤ってダウンロードさせます。
そのため、アプリのアイコンや名前、画面構成が本物と非常によく似ていることがあります。中には、信頼性を装うために偽のレビューを投稿する詐欺師もいます。
本物のウォレットを装ったフィッシングサイト
もう一つよくある手口が、仮想通貨ウォレットのフィッシングサイトを作ることです。これらのサイトは、正規サービスのログイン画面やインターフェースを模倣し、本物と見分けがつきにくいURLを使っています。
偽サイトは、オンライン広告やSNS投稿を通じて拡散されることもあれば、緊急性を強調するフィッシングメールによって送られてくることもあります。たとえば、「ウォレットに問題が発生している」といった内容で、すぐにログインするよう促してきます。
メール内のリンクをクリックすると偽サイトに誘導され、そこで入力した情報はすべて詐欺師に盗まれてしまいます。
マルウェアに感染したウォレット
このタイプの詐欺は、偽のウォレットアプリを公開する点で、最初の手口と似ています。ただし、このアプリには、認証情報を入力させるだけでなく、キーボード入力を記録したり、クリップボードを監視したりする悪意のあるコードが仕込まれています。
マルウェアに感染したウォレットは特に危険です。仮想通貨だけでなく、デバイス内の他の機密情報まで侵害される可能性があります。インストールされると、保存されているパスワードやクレジットカード情報を探し出されたり、デバイスを使って仮想通貨をマイニングするなど、個人情報や金銭情報全体に深刻な被害が及ぶ恐れがあります。
実際に確認された偽の仮想通貨ウォレット詐欺の事例

ケーススタディ:WalletConnect を装ったフィッシングサイト
2024年、仮想通貨ウォレットをウェブサイトやアプリと連携させ、安全に取引を承認できるWalletConnectの利用者を狙った詐欺が相次いで発生しました。
その一例が、攻撃者がWalletConnectを名乗り、悪意のあるリンクを含むメールを送信したフィッシングメールキャンペーンです。この攻撃では、CointelegraphやToken TerminalなどのWeb3企業も標的となりました。仮想通貨調査員ZachXBTによると、攻撃者はこの手口で58万ドル以上を盗み出すことに成功したとされています。
別の事例では、偽のWalletConnectアプリが作成され、被害者は悪意のあるウェブサイトへ誘導されて資金を盗まれそうになりました。サイバー脅威インテリジェンス企業Check Point Researchによれば、この偽アプリは1万回以上ダウンロードされ、4か月以上にわたってGoogle Playストアに掲載されていました。
ケーススタディ:macOS 向けの偽 Ledger Live アプリ
2024年8月、Moonlock Lab の研究者は、Ledgerハードウェアウォレットを管理する公式アプリLedger Liveの偽バージョンを発見しました。この偽アプリは、Atomic macOS Stealer(AMOS)と呼ばれるマルウェアを使って配布されていました。
攻撃者は、侵害されたウェブサイトへの悪意のあるコード注入、偽のソフトウェアダウンロード、フィッシングメール、巧妙なリンクなどを通じて、このマルウェアを拡散していました。Moonlock Labは、2,800以上の侵害されたサイトでこの手口を確認しています。
AMOSはインストールされると、個人データやパスワード、セキュアメモ、仮想通貨ウォレットの情報を収集し、その後、正規のLedger Liveアプリをクローン版に置き換えます。偽アプリは不審なアクティビティを警告し、24語のリカバリーフレーズを入力するよう利用者に促します。
ケーススタディ:Coinbase を装ったフィッシングメール
2025年3月、Bleeping Computer が報告したところによると、Coinbase 利用者を狙った大規模なフィッシングキャンペーンが確認されました。
この詐欺メールには悪意のあるリンクは含まれておらず、正規のCoinbase Walletページへ誘導することで信頼性を装っていました。メールはCoinbaseのサポートを名乗り、記載されたリカバリーフレーズを使って新しいCoinbase Walletを設定する必要があると主張していました。
この指示に従ってウォレットを設定し資金を送金すると、被害者は知らないうちに詐欺師が管理するウォレットへ仮想通貨を移してしまい、攻撃者は本物の認証情報に触れることなく資金を盗み取ることができました。
ケーススタディ:MetaMask と偽ウォレットアプリの急増
2025年6月、Cyble は偽の仮想通貨ウォレットアプリの急増を確認し、複数のアプリストアで20以上の偽アプリを特定しました。これらのアプリは、MetaMask、Trust Wallet、Phantomなどの有名ウォレットを装っていました。
人気のEthereumウォレットであるMetaMaskは、利用者の認証情報や仮想通貨資産を盗む目的で、これまで何度も詐欺師に模倣されてきました。
2019年には、Google Play上でサイバーセキュリティ企業 ESET によって発見された偽のMetaMaskアプリが確認されました。このアプリには、コピーした仮想通貨ウォレットアドレスを攻撃者のアドレスに置き換える「クリッパーマルウェア」が含まれていました。
2022年には、Cyble が偽サイトの事例を調査し、公式MetaMaskサイトを模倣した偽サイトから、マルウェアに感染したMetaMaskアプリが配布されていたことが判明しました。
偽の仮想通貨ウォレットを使用してしまった場合の対処法
仮想通貨詐欺に遭った可能性がある場合は、迅速かつ適切な行動を取ることで、被害を最小限に抑えられる可能性があります。以下は、取るべき対応の要点です。
- 残っている資産を保護する:連携しているメールアドレスや取引所などの関連アカウントのパスワードを直ちに変更し、接続されている分散型アプリケーション(dApps)の権限を取り消してください。その後、残存する資金を新しい安全なウォレットへ移動します。2FAを有効にし、追加の対策としてハードウェアウォレットの利用も検討してください。
- 証拠を収集する:偽のウォレット画面、不審なURL、メール、テキストメッセージ、取引確認画面など、すべてのスクリーンショットを保存してください。あわせて、ウォレットアドレス、取引ID、タイムスタンプを記録します。これらの資料は、後の通報や回収対応において重要となります。
- 詐欺を報告する:利用したウォレット提供者や取引所に連絡してください。取引の取り消しは難しい場合が多いものの、不審な活動の把握や資金追跡の支援を受けられる可能性があります。その後、居住国の関係当局に詐欺を報告してください。米国では、仮想通貨詐欺はFBI インターネット犯罪苦情センターが担当しています。
- 専門家への相談を検討する:多額の仮想通貨を失った場合、ブロックチェーン・フォレンジック企業や仮想通貨に詳しい弁護士への相談を検討する価値があります。これらの専門家は、ブロックチェーン上の取引を分析し、資金の送金先を追跡・特定できる可能性があります。まれに、盗難資産の回収につながるケースもありますが、被害者を狙った偽の仮想通貨回収サービスには注意が必要です。
仮想通貨を守るためのまとめ
仮想通貨の世界は、革新やチャンス、自由にあふれていますが、その一方で大きなリスクも存在します。従来の金融では、信頼できる既存の金融機関を利用していれば、詐欺は比較的回避しやすく、万一トラブルが発生しても、不正対応チームが支援してくれる場合がほとんどです。
しかし、仮想通貨は事情が異なります。最も魅力的なイノベーションの多くは、新規または知名度の低いプロジェクトや技術から生まれます。残念ながら、こうした環境は詐欺師にとっても活動しやすい土壌です。また、仮想通貨の特性上、詐欺に遭った後に資産を取り戻す手段は極めて限られています。
そのため、仮想通貨を守ることは、偽のウォレットや安全性の低いウォレットを避けるだけでは十分ではありません。重要なのは、好奇心と慎重さのバランスを取ることです。最新のチャンスが最も危険である可能性もあるこの分野では、適切なツールを持つこと以上に、良い習慣を身につけ、正しい質問をし、すべての新しいプロジェクトに対して健全な懐疑心を持って向き合う姿勢が求められます。
FAQ:偽の仮想通貨ウォレットに関するよくある質問
偽の仮想通貨プラットフォームとは何ですか?
偽の仮想通貨プラットフォームとは、正規の仮想通貨取引所や投資サービスを装ったウェブサイトやアプリのことです。見た目や操作性は本物に似ていますが、目的はただ一つ、利用者をだまして資産や個人情報を盗むことです。資金の入金を促したり、秘密鍵を入力させたり、機密情報でログインさせたりします。
仮想通貨は偽造できますか?
いいえ、本物の仮想通貨は法定通貨のように偽造することはできません。ブロックチェーン技術により、各コインの一意性と安全性が確保されているためです。ただし、既存のブロックチェーン上で「トークン」と呼ばれるデジタル資産を作成することは誰にでも可能です。詐欺師は、こうした偽のトークンを作成し、購入や送金を促すことで人々をだますことがあります。
詐欺に遭った仮想通貨からお金を取り戻せますか?
可能性は極めて低いです。ブロックチェーン取引は追跡しやすい一方で、ウォレットアドレスの所有者を特定するのは非常に困難です。そのため、資金回収を確実に行えると謳うサービスには注意が必要です。
通常、詐欺に遭った場合にできる最善の行動は、残っている資産を保護し、関係するウォレット提供者や取引所に連絡し、法執行機関に被害を報告することです。
最も信頼できる仮想通貨ウォレットは何ですか?
最も信頼できる仮想通貨ウォレットは、利用者の目的や経験によって異なるため、一概には言えません。ただし、怪しい仮想通貨ウォレットを避けるための指針は存在します。
ハードウェアウォレットは、秘密鍵をオフラインで保管できるため、高い安全性を提供します。また、ノンカストディアルウォレットを選ぶことで、秘密鍵を自分自身で管理でき、第三者による不正アクセスを防げます。
安全なウォレットは、オープンソースまたは第三者監査を受けており、二要素認証やバックアップ復旧などの強固なセキュリティ機能を備え、信頼できる提供元から提供されていることが重要です。
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