オンラインでの出会いは、新しい人と知り合う便利な方法です。しかし同時に、デート詐欺や出会い系アプリ詐欺に利用されるケースも増えています。一見完璧に見えるプロフィールの裏には、心だけでなく金銭まで奪おうとする詐欺師が隠れていることがあります。彼らは感情を巧みに操り、根拠のない緊急性や信じ込みやすい話を使って信頼を得たあと、金銭を狙ってきます。
これらのデートクラブ詐欺や偽出会い系サイト詐欺は、最初はごく自然に始まることがほとんどです。会話は誠実で魅力的に感じられますが、突然流れが変わります。「助けてほしい」という依頼、うますぎる投資話、あるいはアプリ外での連絡を急かす要求などが、その兆候です。
本記事では、デート詐欺がどのように行われるのか、見逃してはいけない警告サイン、そして出会い系アプリ詐欺から身を守る方法を解説します。
すでに被害に遭ってしまった場合の対処法や、今後安全にオンラインデートを続けるためのポイントも紹介します。
オンラインデート詐欺とは何か
オンラインデート(Online dating)詐欺とは、恋愛感情があるかのように振る舞いながら、実際には金銭や個人情報、またはその両方をだまし取ることを目的としたインターネット詐欺の一種です。詐欺師は多くの場合、偽の身元を作り、オンライン上で関係を築きながら、徐々に会話を自分にとって都合のよい方向へ誘導していきます。
詐欺の中には単純なものもありますが、これを組織的かつ常習的に行うグループも存在します。彼らは複数の偽プロフィールを作成し、実在する人物の写真を流用し、同じメッセージを多くの相手に送り続け、誰かが反応するのを待ちます。
これらの詐欺が特に危険なのは、非常に個人的で本物のように感じられる点です。一般的なフィッシングメールとは異なり、会話は自然で、時には親密にさえ感じられます。詐欺だと気づいたときには、すでに多くの被害者が感情的にも金銭的にも深く巻き込まれてしまっています。
デート詐欺はどのように行われるのか:感情操作と緊急性

恋愛詐欺師の手口は、相手との関係が個人的に感じられるように作られています。目的は、冷静な判断が入る前に警戒心を下げることです。一瞬でだまされるのではなく、何が起きているのかを立ち止まって考えるよりも、受け入れるほうが楽だと感じる状態へ、少しずつ誘導されていきます。
そのため、これらの詐欺は非常に信じやすく感じられます。相手が見せる温かさや弱さ、親しみやすさの積み重ねに反応しているうちに、信頼が生まれます。そしてその直後に、突然の医療費や口座凍結、あるいは逃してほしくない投資話といった「緊急事態」が持ち込まれます。
金銭の話が出てくる頃には、それはもはや詐欺のようには感じられません。「心を開いてくれた相手を助けている」と感じてしまうのです。その時点では立ち止まって考えること自体が難しくなり、流れに従うほうが楽に思えます。これは、すぐにだますことを目的とするのではなく、気づかないうちに判断を誘導するソーシャルエンジニアリングの一形態です。
デート詐欺師が最もよく利用するプラットフォームとは
詐欺師は、会話が活発で、管理や監視が行き届きにくい場所を狙います。以下は、デート詐欺師が特に多く見られるプラットフォームと、その理由です。
- Tinder、Bumble、Hinge:偽のプロフィールを簡単に作成でき、手間なく会話を始められます。多くの場合、詐欺は早い段階でアプリ外のやり取りへと移行します。
- Instagram(Instagram)やFacebookのデーティング機能:「近くにいる人」や「友達の友達」からのメッセージが、実際とは異なるケースも少なくありません。
- WhatsApp(WhatsApp)やTelegram(Telegram):プライベート性が高く、運営側による監視がほぼ行われません。
- Plenty of Fish(POF)、Grindr(Grindr)、ニッチな出会い系サイト:露骨な写真を使った詐欺(scams involving explicit photos)に利用されることが多いプラットフォームです。
- LinkedIn:一見すると意外ですが、近年では恋愛と投資を組み合わせた詐欺に利用される例が増えています。特に、プロフェッショナルを装った暗号資産詐欺が目立ちます。
どのプラットフォームも、詐欺とは無縁ではありません。
しかし、やり取りを急いでアプリ外に移そうとしたり、ビデオ通話や対面でのやり取りを避ける場合は、一度立ち止まって冷静に見直すことが重要です。
オンラインデートの詐欺師を見分けるには?

恋愛詐欺師は、最初から露骨な危険信号を振りかざして現れるわけではありません。写真を流用したり、感情に訴える情報を小出しにしたり、自然な会話のテンポをまねたりして、少しずつ信頼を築いていきます。しかし、どれほど巧妙に作られた偽の人物像でも、注意深く見れば綻びが出るものです。ここでは、「思っている相手」と話していない可能性が高い代表的なサインを紹介します。
1. プロフィール写真が1枚だけ、または写真がない
プロフィール写真が1枚だけだからといって、それだけで危険信号とは限りません。ただし、他の要素と重なると注意が必要です。多くの実在ユーザーは、自撮りや友人との写真、屋外で撮った写真など、自然なスナップを複数投稿する傾向があります。一方で詐欺師は1枚の画像だけで押し通すことが多く、ストックフォトや他人のSNSプロフィールから流用しているため、過度に整いすぎていたり、妙に「どこにでもいそう」な印象になりがちです。
ただし現在は、AI画像生成や顔入れ替えツール(AI image generators and face-swapping tools)が手軽に使えるため、詐欺師でも「それらしく見える写真」を複数用意できてしまいます。そのため、写真の枚数だけではなく、全体の文脈も確認するのがおすすめです。写真は私生活が感じられるものか、それとも演出されたように見えるか。相手が語っている自己紹介と内容が一致しているか。少しでも違和感がある場合は、慎重に対応してください。
2. 暗号資産や投資の話題を持ちかけてくる
この手口はあまりにも一般化しており、現在では「豚の肥育(pig butchering)」と呼ばれる名称で活動する詐欺グループまで存在します。これは、最終的に金銭を奪う前に、感情面で相手との関係を深めていく手法です。
多くの場合、最初から暗号資産の話をすることはありません。まず信頼関係を築き、その後で「経済的自由」や「トレードのコツ」、あるいは成功のきっかけを与えてくれた親族の話などを持ち出します。あたかも、自分だけが特別な情報を教えてもらっているかのように感じさせるのが特徴です。
偽の利益を示すスクリーンショットを送ってきたり、「限定」や「特別」といった言葉でプラットフォームへの参加を勧めたりすることもあります。しかしその目的は、FOMO(取り残される不安)を煽り、自分が管理できないウォレットに送金させる(send money to a wallet you don’t control)ことが目的です。
3. マッチしてすぐに怪しいリンクを送ってくる
詐欺師は手間を省くことを好みます。きちんとした会話が始まる前にリンクを送ってくる場合、それをクリックするのは非常に危険です。
中には、フィッシング詐欺につながるリンク(Some links lead to phishing scams)もあります。出会い系アプリのログイン画面やGoogleアカウントを装っているケースが典型的です。リンクによっては、端末にスパイウェアが仕込まれることもあります。不自然なURLや見覚えのないドメインが使われている場合は、決して反応しないでください。本当に実在する相手であれば、名前も知らない段階で突然リンクを送りつけてくることはありません。
4. 危機的な状況にある、または金銭的な助けが必要だと言ってくる
これは非常に古くから使われている手口で、今でも高い効果があります。数日から数週間やり取りを続けたあと、相手は突然「困難な状況」を話の中に持ち込みます。そこには、恥ずかしさや弱さをにじませた語り方が使われることが多くあります。旅行中に足止めされている、家族が入院している、あるいは一時的な出費を賄うために少額のお金が必要だ、といった話が典型例です。
必ずしも最初からお金を要求するとは限りません。問題があることだけをほのめかし、あなたのほうから助けを申し出るのを待ったうえで、「申し訳なさそうに」それを受け取るケースもあります。
5. 早い段階でアプリ外へ移動しようとする
詐欺師は、通報されたり警告対象になることを嫌います。そのため、会話をほぼすぐにWhatsAppやTelegram、SMSへ移そうとする傾向があります。「このアプリはあまり使わない」「もっとプライベートな場所で話そう」といった言葉が使われます。
しかし、本当の目的は相手をコントロールすることです。アプリ外に移れば監視を避けられ、心理的な圧力を強めることができます。やり取りがより個人的に感じられるため、関係を断ち切りにくくなります。
十分な会話も交わしていないうちからアプリ外へ移動したがる相手は、信頼関係を築こうとしているわけではありません。それは、罠を仕掛けているサインです。
6. 関係の進み方が異常に早い
出会って数日で「運命の相手だ」と言ってきたり、数回のやり取りだけで親しげな呼び名を使い始めたりする場合、それは恋愛ではありません。単に、用意された台本に沿って行動しているだけです。多くの詐欺師は、感情的な盛り上がりを短時間で作り出すための、実績ある手口を使っています。感情移入が深くなるほど、後になって相手の行動を疑うことが難しくなります。
共通の価値観を強調したり、「こんな気持ちは初めてだ」と言ったり、あなたの発言をそのままなぞるように返してくることもあります。これは単なる過剰な愛情表現ではなく、計算された手口です。本当の信頼や親密さは、時間をかけて築かれるものだという点を忘れないでください。
7. メッセージが使い回しのように感じられる
メッセージがチャットボットや定型文カードのように感じられる場合、その可能性は高いと言えます。詐欺師は、形式ばった表現や不自然な言い回し、「こんばんは、今夜もとてもお美しいですね」といったぎこちない褒め言葉など、使い回しの文章をよく使います。
ただし、AIの普及によって見分けるのは以前より難しくなっています。現在では、自然で温かみのある返信を生成し、過去のやり取りを覚えているAIツールを使う詐欺師も増えています。会話が本物のように感じられても、安心はできません。
そのため、不自然に堅い表現だけでなく、あまりにも洗練されすぎている返答や、返信が早すぎる場合、こちらの発言に完璧すぎるほど合わせてくる反応にも注意が必要です。
8. 性的な話題や写真を求めてくる
一部の詐欺師は、セクストーション(性的脅迫)を目的として、早い段階で会話を性的な方向へ誘導します。露骨な写真を送ってしまうと、後になって「支払わなければ知人に送る」と脅迫される可能性があります。
また、偽の「大人向けチャット」やセクスティング用アプリをダウンロードさせたり、支払い情報を盗むサイトへ登録させたりする手口もあります。出会って間もない段階で、親密な会話や写真を強く求めてくる相手がいれば、その時点でやり取りを終了するのが最も安全です。
9. 完璧すぎて「うますぎる話」に見える
モデルのような外見で、魅力的な職業に就き、あなたの興味や価値観と完璧に一致し、出会ってすぐに真剣な交際を求めてくる相手がいたら、「なぜこの人は今も独身なのだろう」と立ち止まって考える必要があります。
詐欺師は、相手が求めている理想像そのものになるよう計算されたプロフィールを作ります。出会い系アプリでの行動パターンを研究し、反応が得られる要素に応じて内容を調整しているのです。目的は現実的であることではありません。抗えないほど魅力的に見せることです。あまりにも理想的すぎると感じるなら、それは本物ではない可能性が高いでしょう。
10. ビデオ通話や直接会うことを避け続ける
詐欺師は、対面で話せない理由をほぼ必ず用意しています。「旅行中」「カメラが壊れている」「ビデオ通話が苦手」など、理由はさまざまです。しかし、どんな言い訳であっても、通話を避け続けたり、直前になって面会をキャンセルしたりする場合は、相手が名乗っている人物ではない可能性が高いと言えます。
とはいえ、高度なAIツールの登場により、ライブのビデオ通話中であっても他人の顔や声を偽装すること(to fake someone’s face or voice)が可能になっています。この手口はすでに一部の詐欺で確認されており、出会い系ではまだ一般的ではないものの、今後さらに簡単かつ巧妙になっていくでしょう。
だからこそ、安全で人目のある場所で実際に会うことが、相手が本当に誰なのかを見極める最も確実な方法になる場合が多いのです。
11. 個人情報や金銭に関する情報を聞き出そうとする
これは多くの場合、詐欺の最終段階ですが、時には早い段階で現れることもあります。詐欺師は、氏名、住所、職業、収入などの個人情報を聞き出そうとします。さらに進むと、銀行口座の詳細や暗号資産ウォレットのID、場合によっては自分の代わりに新しい口座を開設してほしいと求めてくることもあります。
「ちょっとお願いできる?」といった、さりげない言い方をすることもあります。また、「本当に大切に思っている相手にしか頼まない」と、恋愛的な信頼関係を強調する形で持ちかけられる場合もあります。
一度も会ったことのない相手が、身元情報やお金、信用に関わることを求めてきた場合、その人物が名乗っているとおりの相手ではないと考えて問題ありません。その時点で、やり取りを断つ判断が必要です。
オンラインでよく見られる詐欺の種類とは

恋愛詐欺には多くの種類があり、すぐに気づけるものもあれば、手遅れになるまで見抜けないものもあります。以下では、特に多い詐欺のタイプ、その手口、そして出会い系アプリやSNSで被害が後を絶たない理由を解説します。
キャットフィッシング詐欺
これは、多くの長期的な恋愛詐欺の土台となる手口です。詐欺師は、盗用写真やAI生成の写真を使い、あいまいながらも信じられそうな経歴と、本物らしく見せる最低限の魅力を備えた偽の人物像を作り上げます。最終的な目的は多くの場合、金銭です。しかしその前に、相手に「大切に思わせる」必要があります。
キャットフィッシング(Catfishing)は感情的な信頼関係を築き、そのつながりによって、性的脅迫、偽の緊急事態、暗号資産投資など、金銭要求につながる手口へと誘導しやすくなります。やり取りが長引くほど、たとえプロフィールが偽物であっても関係が本物のように感じられ、関係を断ち切ることが難しくなります。
暗号資産投資詐欺
信頼関係が築かれると、詐欺師は「投資を手伝う」という名目で話題を投資へと移していきます。多くの場合、その対象は暗号資産です。自分が使っている取引プラットフォームや、成功に導いてくれた「メンター」、高い利益が見込める突然のチャンスなどが語られます。
この段階では、信頼性を装うために偽の管理画面やスクリーンショットが提示されます。出金を試みるまでは、すべてが正当に見えるのが特徴です。しかし、出金しようとした瞬間にプラットフォームは消え、相手は音信不通となり、送ったお金は取り戻せなくなります。
こうした詐欺は短期間で終わるとは限らず、数週間から数か月にわたって進行することもあります。危険な兆候が現れても、感情的なつながりによって抜け出せなくなってしまうのです。
親密な写真を悪用する詐欺(セクストーション)
一部の詐欺師は、別のアプローチを取ります。短期間で親密さを演出し、その流れで会話を性的な方向へと誘導します。写真を求めたり、露骨なビデオ通話を始めたり、軽い口説きに見せかけて不利になるコンテンツを共有させることもあります。
その後に待っているのは、典型的な脅迫です。お金を送らなければ(場合によっては、さらに写真を送らなければ)、内容を公開すると脅されます。中には、すでに第三者に送ったと主張し、「拡散を止めるための支払い」を要求するケースもあります。
緊急事態や助けを求める詐欺
この手口には、必ず「もっともらしい話」が添えられます。旅行中で銀行口座が使えない、家族が事故に遭った、軍に所属していて通常の送金方法が使えない、といった内容が典型です。
どんな内容であっても、危機は突然持ち出され、感情に強く訴えかけてきます。多くの場合、親密さや弱さを見せる期間のあとに、「頼みたくはなかったけれど……」という前置きから始まり、一時的で負担が小さそうに見える依頼へとつながります。
最初の依頼で終わることは、ほとんどありません。一度でもお金を送ってしまうと、「応じてくれる相手」として認識されてしまいます。
軍人や海外勤務の専門職を名乗る恋愛詐欺
このタイプの詐欺師は、海外で働く軍人や医師、エンジニアなどを名乗ります。こうした職業は、長期間会えないことや連絡が限られる状況を自然に説明できるため、ビデオ通話や対面を避ける口実として使われます。
信頼関係ができると、関税や移動費、「一時的な銀行の問題」などを理由に金銭的な支援を求めてきます。中には、正式に見せかけるために偽の身分証明書や書類を送ってくるケースもあります。
本当の手口は非常に単純です。権威性と物理的な距離を利用して質問をかわし、制服や専門職という肩書きによって信頼を得ようとするのです。
マルウェアや怪しいリンクを使った詐欺
中には、関係を築くことすらせずに進める詐欺もあります。マッチして間もなく、「アカウントを確認する」「もっと写真を見る」「プライベートチャットに入る」といった理由でリンクを送ってくるのが典型です。ページは出会い系アプリやGoogleのログイン画面のように見えても、実際はフィッシングの罠(phishing trap)である場合があります。
また別のケースでは、リンクを開くことで端末にマルウェア(malware)がインストールされ、認証情報やメッセージを盗まれてしまいます。こうした詐欺は、多くの人に一斉に仕掛け、削除される前にごく一部がクリックすることを狙っています。
最初の行動がリンク送信である場合、その相手は会話をするためではなく、詐欺を目的としていると判断して差し支えありません。
偽の出会い系サイト詐欺
詐欺師は、実在しない出会い系プラットフォームそのものを宣伝することがあります。広告やSNSのメッセージ、さらには実在するアプリ内の偽プロフィールを使って誘導するケースもあります。これらのサイトは、個人情報を収集したり、存在しない機能に対して利用料を請求したりする目的で作られています。
中には、本物の利用者を装ったボットと会話させ、利用料を支払うまで引き留めるサイトもあります。また、マルウェアやデータ収集ツールが仕込まれているケースもあります。
レビューが見つからない、すべてのプロフィールが不自然に積極的、サポート窓口の情報が見当たらない場合は、関わらないのが最も安全です。
相続を装った詐欺
この手口は、ある程度の関係性が築かれたあとに始まることが多いのが特徴です。詐欺師は、多額の遺産や思いがけない財産を受け取ったものの、法的・事務的な問題で引き出せないと説明します。中には、「遺言にあなたの名前を入れた」と言ってくるケースもあります。
求められるのは、法的手数料や手続き費用、あるいは資金を受け取るための渡航費の支援などです。偽の書類や偽の弁護士が登場することも珍しくありません。個人的で光栄に感じさせる演出こそが、この詐欺が成立する理由です。
恋愛として始まった関係が、やがて架空の富をめぐる長期的な詐欺へと変わっていきます。
出会い系サイトの2要素認証コードを使った詐欺
この詐欺では、出会い系プラットフォームを装い、「本人確認」を理由に2要素認証コードを聞き出します。実際には、あなたのアカウントに不正ログインしようとしており、直前に届いたコードを必要としているだけです。
「アプリからセキュリティコードが届くから、本物かどうか確認するために送ってほしい」と言われることもありますが、そのコードこそがアカウント乗っ取りの最後の鍵です。
一度侵入されると、あなたになりすまして他人に連絡したり、マッチ相手を狙ったり、プロフィールの返還と引き換えに金銭を要求されたりする恐れがあります。
マネーミュール(資金運び役)に仕立てる詐欺
この手口は、より分かりにくいのが特徴です。詐欺師は直接お金を求めるのではなく、送金を「手伝ってほしい」と持ちかけてきます。「国内で代わりに支払いを受け取ってほしい」「家族に送金してほしい」といった依頼が典型です。
一見、好意のお願いに見えますが、実際には盗難資金や不正に洗浄された資金を移動させるために利用され、知らないうちにマネーミュール(資金運び役)にされてしまいます。これは事情を知らなかった場合でも違法行為にあたります。
被害者と共犯者の境界が曖昧になる点こそが、この詐欺を非常に危険なものにしています。
恋愛詐欺師を見抜き、被害を防ぐには
恋愛詐欺は主に、感情的な盛り上がりと、相手に質問することをためらわせる心理を利用しています。ここでは、被害に遭わないために意識したいポイントを紹介します。
危険な兆候を見抜くために早めに確認したい質問
まずは簡単な質問から始めつつ、世間話だけで終わらせないことが大切です。仕事や住んでいる場所だけでなく、普段の生活リズム、出身地、家族のこと、最近見た映画なども聞いてみましょう。そして、時間をおいて同じ話題をもう一度持ち出してみてください。
話題が個人的になるほど、詐欺師はボロを出しやすくなります。曖昧な答え方をしたり、具体的な説明を避けたり、以前に話した内容を忘れたりすることがあります。一方で、本当に実在する人は自分の経験を話しているため、話の内容に一貫性があります。
少しでも不安を感じたら、相手の話を事実として確認してみましょう。勤務先として挙げた場所を調べたり、写真に写っている友人について質問したりするのも有効です。基本的な確認だけで話が破綻するようであれば、その時点で結論は出ています。
相手の身元を安全に確認するには
探偵を雇う必要はありません。大切なのは、丁寧に確認することです。プロフィール写真を逆画像検索し、「詐欺」や「偽プロフィール」といったキーワードと一緒に名前を調べてみましょう。仕事や居住地、生活ぶりに関する話がつじつまの合う内容か、時系列に違和感はないか、返答に一貫性があるかを確認してください。
可能であれば、実際に会うことも検討してください(必ず人目のある安全な場所で)。対面で会うことは、相手が本当に名乗っている人物かを見極めるうえで、最も信頼できる方法です。ただし、対面でも嘘をつく詐欺師は存在します(Tinder詐欺師(Tinder Swindler)のような例もあります)。それでも、オンラインを離れることで、すべてを偽り続ける難易度は大きく上がります。
また、時間をかけて慎重に行動することを、本物の相手は嫌がりません。一方で詐欺師は、「慎重すぎる」「信じてくれない」といった形で、あなたに罪悪感を抱かせようとします。
距離を置く、またはプロフィールを通報すべきタイミング
距離を置くために、明確な証拠は必要ありません。少しでも違和感を覚えたら、その時点で連絡を断って問題ありません。その後、相手をブロックし、プロフィールを通報する(report the profile)ことができます。多くのプラットフォームには不審な行動を報告する機能が備わっているため、積極的に利用しましょう。詐欺かどうか確信が持てなくても、あなたの通報が他の人の被害を防ぐことにつながる可能性があります。
オンラインで恋愛を急ぐことが危険な理由
本当の信頼関係は、時間をかけて築かれます。数回のやり取りで「愛している」と言ってきたり、すぐに将来の大きな計画を立てたがる相手がいたら、いったん立ち止まりましょう。
関係が急速に進むほど、操作されやすくなります。考える時間を取らなければ、違和感に気づきにくくなります。早く進むよう強く迫ってくる相手は、たいていあなたの冷静な判断を飛び越えようとしています。
詐欺に遭ってしまったらどうするか

出会い系詐欺に遭ってしまった場合、最も大切なのは迅速に行動することです。対応が遅れるほど、金銭の回収や、なりすまし被害の防止、他の人が同じ罠にかかるのを防ぐことが難しくなります。詐欺師を言い負かそうとしたり、駆け引きを続けたりする必要はありません。連絡を断ち、次の手順に進みましょう。
出会い系詐欺師を通報するには
詐欺師が連絡してきたすべてのプラットフォームで、まず相手をブロックしてください。そのうえで、利用しているアプリやウェブサイトにアカウントを通報します。多くの出会い系アプリでは、プロフィール画面やメッセージ画面の近くに「通報」ボタンが用意されています。確信がなくても、積極的に利用しましょう。こうした通報は、運営側が偽プロフィールを早期に発見する助けになります。
また、各国のサイバー犯罪や詐欺を担当する公的機関にも通報しましょう。米国では連邦取引委員会(FTC)およびインターネット犯罪苦情センター(IC3)、英国ではアクション・フロード(Action Fraud)が窓口となります。すべての詳細が揃っていなくても問題ありません。分かっている範囲の情報で、通報することが重要です。
身元情報とアカウントを守るために取るべき手順
詐欺師に個人情報や金銭に関する情報を渡してしまった場合は、以下の対応を行いましょう。
1. パスワードを直ちに変更する
まずは、メール、銀行、SNSなど重要なアカウントのログイン情報から変更してください。複数のサイトで同じパスワードを使っている場合は、すべて変更する必要があります。ExpressVPN Keysのようなパスワードマネージャーを使えば、今後は強力で使い回しのないパスワードを簡単に作成・管理できます。
2. 銀行や決済サービス提供者に速やかに連絡する
すでに送金してしまった場合は、できるだけ早く銀行や決済サービスに連絡してください。迅速に行動すれば、送金を凍結したり、不正な請求に対する異議申し立てを支援してもらえる可能性があります。
3. クレジット情報と身元情報を継続的に確認する
住所、身分証番号、クレジットカード情報などを渡してしまった場合は、銀行や信用情報機関に連絡し、リスクを共有してください。多くの国では、不正警告(フラウドアラート)やクレジット凍結を申請することで、自分の名義で新たな口座が作られるのを防ぐことができます。米国では、ExpressVPN Identity Defenderが、情報漏えいアラートや保険補償*を含む身元監視・盗難防止サービスを提供しています。
4. 端末をマルウェア感染の有無で確認する
不審なリンクを開いた、ファイルをダウンロードした、または怪しいサイトにログインした場合は、端末でフルスキャンを実行してください。これにより、詐欺師によって仕込まれた可能性のあるスパイウェアや追跡ツールを検出・削除できる場合があります。
心のケアや法的サポートを受けるには
恋愛詐欺に遭うと、恥ずかしさや孤独感、場合によっては強い自己嫌悪を感じてしまうことがあります。しかし、あなたは一人ではありません。実際に、多くの人が同じような被害を経験しています。たとえ状況を恥ずかしく感じていたとしても、詐欺師を通報することは重要です。それが、他の人を同じ被害から守ることにつながります。
オンライン詐欺や金銭的被害を専門に扱う支援団体を探すことも検討してください。国によっては、詐欺被害者向けの専用相談窓口やホットラインが設けられています。一人で抱え込む必要はありません。
多額の金銭被害が発生している場合は、弁護士などの法律の専門家や消費者保護機関に相談しましょう。お金を取り戻せないこともありますが、被害を記録し、正式に報告すること自体に意味があります。
当局へ通報した際に知っておきたいこと
多くの機関は通報を受け付けてくれますが、被害額が大きくない場合や、組織的な犯罪と判断されない場合には、個別対応が行われないこともあります。それでも、あなたの通報が無駄になるわけではありません。大きな捜査の中で、欠けていた重要な情報になる可能性があります。
場合によっては、あなたの通報が、同じ詐欺師による新たな被害を防ぐきっかけになることもあります。大切なのは、起きたことを正直に、端的に、事実に基づいて伝えることです。
オンラインデートを安全に続けるために

オンラインデートで安全に過ごすことは、詐欺を避けることだけが目的ではありません。あらゆる段階でプライバシーを守ること(protecting your privacy at every step)が重要です。プロフィールの設定から実際に会うまで、ちょっとした心がけが大きな差を生みます。ここでは、リスクを減らし、自分の情報をコントロールするためのポイントを紹介します。
オンラインデートで実践したいセキュリティ対策
アカウントには、強力で使い回しのないパスワードを設定しましょう。アプリが対応していれば、2要素認証を有効にしてください。出会い系プロフィールを普段使っているSNSと連携させず、本名、メールアドレス、電話番号はプロフィールに記載しないことが大切です。また、無害に見えるリンクであっても、常に慎重に対応してください。
初めてのビデオ通話や対面で会うときの注意点
ビデオ通話では、背景をシンプルにし、自宅の様子が映らないようにしましょう。実際に会う場合は、人目のある公共の場所を選び、どこに行くのかを事前に誰かへ伝えてください。移動手段を相手に頼らず、自分で確保することも重要です。常に周囲に注意を払い、スマートフォンの充電を切らさないようにし、少しでも不安を感じたらその場を離れましょう。
プライバシーと個人情報を守るために
出会ったばかりの相手に、住所や勤務先、生活パターンを教えてはいけません。私生活が詳しく分かってしまうような写真も避けましょう。個人情報や金銭的な支援を求められた場合は、直ちに連絡を断つことが重要です。
また、VPNを利用することで、位置情報やプライバシーを守ることもできます(Using a VPN can also help protect your location details and privacy)。IPアドレスを隠し、通信を暗号化することで、データの安全性を高められます。
その出会い系プラットフォームが安全でないかもしれないサイン
偽のプロフィールが多い、ユーザーを通報する機能がない、必要以上の個人情報を求めてくる──こうした点は、明確な危険信号です。安全なプラットフォームであれば、分かりやすいプライバシー設定が用意されており、通信にHTTPSが使用されています。それらが備わっていない場合は、無理に使い続けず、別のサービスを選ぶ判断が大切です。
FAQ:オンラインデート詐欺に関するよくある質問
TinderやBumbleでもオンラインデート詐欺は起こりますか?
はい、起こり得ます。詐欺師は、利用者が多い主流のアプリを利用します(Scammers use mainstream apps)。時間をかけて信頼関係を築いたり、早い段階でアプリ外のやり取りへ誘導したりするケースもあります。認証済みプロフィールであっても安全とは限らないため、常に注意してください。
2025年に増えている最新のオンラインデート詐欺の手口は?
2025年に特に増えているのが、暗号資産投資詐欺(Crypto investment scams)です。成功したトレーダーを装い、偽の投資プラットフォームへ誘導する手口が多く見られます。また、AIで生成されたプロフィールや音声メッセージも増えており、詐欺を見抜くのが以前より難しくなっています。
出会い系アプリで人をだますのは違法ですか?
はい、違法です。恋愛詐欺は、多くの国で詐欺やサイバー犯罪として扱われます。被害に遭った場合は、地元の当局に通報できます(you can report it to local authorities)。あわせて、出会い系プラットフォームや、米国ではFTCやIC3といったオンライン詐欺対策機関にも報告してください。
誤って詐欺師に送金してしまった場合はどうすればいいですか?
できるだけ早く行動することが重要です。まず、銀行や決済サービスに直ちに連絡し、返金や取引停止が可能か確認してください。その後、出会い系アプリや地元の詐欺対策機関に詐欺を報告してください(report the scam)。やり取りしたメッセージや領収書は、証拠として必ず保管しておきましょう。
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